読了。

長新太 (KAWADE道の手帖)

長新太 (KAWADE道の手帖)

面白かった。最後の二つのエッセイがよかった。
草森紳一さんのエッセイから。

独自なものとか、オリジナリティとか、この世には都合のよい殺し文句があるが、紀元前を省いても二千年近く生棲してきた人間にそのようなものがあってたまるか、という気がする。そのオリジナリティとかやらに欠けるものは、他からの影響の中で、自分を育てよというのかもしれないが、冗談ではない。
自分の世界をもつということは、自分の呼吸の振幅を発見することだと思う。自分の呼吸でものをみることである。ものを感じることである。これがなかなかみつからないので、人はいろいろあちこちに触れて検査してみるのである。触れて検査してみることが、サーバーになってみたり、フランソワになってみたりすることである。*1他人の衣装を着てみて、自分にあうかどうかを調べてみるのである。

*1:サーバー、フランソワ、ともに海外の漫画家。