ウィリアム・ブレイク詩集、ノってきた。


「セルの書」より一部抜粋。

見ておわかりのように、私はもっとも卑しい者で、実際そのとおりなのです。
私の胸はもともと冷たく、もともと暗いのです。
だが、低いものをも愛するお方は、私の頭にも香油を注ぎ
私に接吻し、私の胸のまわりに結婚の帯を結び、こうおっしゃいます。
「汝、私の子どもたちの母よ、私は汝を愛し
だれも奪うことの出来ない王冠を汝に与えた」と。


「地獄の格言」より一部抜粋。

切られた虫は鋤を許す。

水を愛するものは川に浸せ。

愚者は賢者の見る同じ木を見ない。

自分の翼で舞い上がる鳥は高く舞い上がりすぎることはない。

死体は虐待に復讐しない。

もっとも崇高な行為は他人を先に立てることである。

監獄は法律の石で作られ、売春宿は宗教の煉瓦で建てられている。

喜びは孕む。悲しみは産む。

鳥には巣、蜘蛛には網、人には友情を。

今証明されていることもかつては想像されただけであった。

信じることのできるものはすべて真理の像(イメージ)である。

朝には考えよ。昼には行え。夕べには食べよ。夜には眠れ。

鋤が言葉に従うように、神は祈りに報いる。

十分以上を知らなければ、十分を知ったことにならない。

火の目、風の鼻腔、水の口、地の髭。

他の人が愚かでないなら、我々が愚かなのであろう。

青虫が卵を産むために一番美しい葉を選ぶように、僧侶はその呪いを一番美しい喜びにかける。

小さな花を作ることも幾年にもわたる仕事である。

空が鳥の、海が魚のものであるように、軽蔑されるべきものには軽蔑を。

実行しない欲望を胸に抱いているくらいなら、揺籃の中の幼児を殺せ。


「アルビヨンの娘たちの幻覚」より一部抜粋。

僕に教えてくれ、お前が思い出すまで、忘れられた思いはどこにあるのか。
僕に教えてくれ、昔の喜びはどこにあるのか、太古の恋はどこに。
そしていつその思いや喜びや恋がまた新しくなり、忘却の夜が過ぎるのかを教えてくれ。

未知の木々や獣や鳥たちが、
しられてはいないが、ひっそりと、無限の顕微鏡に、
まだ航海者が訪れたことのない場所に、この世ならぬ海を越えた世界に、
誰も知らない大気の中に分布しているのを知っているのか。

ああ! 剣と火の戦い以外の別の戦いがあるのか。


「無垢の予兆」

一粒の砂にも世界を
一輪の野の花にも天国を見、
君の掌のうちに無限を
一時のうちに永遠を握る。