スカラ座で演じられたウィリアム・ケントリッジ演出のモーツァルト魔笛』の放送があったので見た。
トレイラー。

序曲のアニメーションからわくわくして、三人の侍女たちが三脚カメラと共に登場したときは「ケントリッジだ!」と腰を浮かしかけた。*1
しかしケントリッジの作品にしてはちょっと毒が足らない気がしたのと、タミーノ王子がハンターの格好をしていることや途中サイ撃ちの映像が入ってくることが気になっていた。が、この動画を見て納得した。

知性によって光をもたらすという啓蒙思想は、「暗黒の世界」に西洋の知識を導入するという名目で植民地主義を進めたという側面がある。前後関係は知らないが、植民地主義というテーマを通したケントリッジ演出『魔笛』が、改めてスカラ座でかけられることになったんじゃないかと思う。ただスカラ座という場所柄そのテーマが薄められてああいう演出になったのだろうか。こうなると元のバージョンも通して見てみたい。


そしてパパゲーノはとても良いキャラだった。独り身の鳥刺しパパゲーノが妻が欲しいと歌うアリア。

恋人パパゲーナと(いろいろあった末に)再会し、結婚して子供をたくさん作ろう!と歌うアリア。

おそらく『魔笛』で一番有名な曲だろう「夜の女王のアリア」


余談。
「夜の女王のアリア」はクリスティーナ・ドイテコムが歌っているのが好き。*2

*1:三脚カメラはケントリッジ作品によく出てくるモチーフ

*2:「自分でザラストロ殺れよ……」と思うが