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ヘルマン・ヘッセの「人は成熟するにつれて若くなる」をちら読み。最初の「春の散歩」でうわああああとなる。このうわああああは驚きや恐怖というよりは、納得もしくは感動の波。私にとって読書は「新たなものの上書き」というよりは「岩の中に潜む物を削りだす」作業に似ている。まさしく「私は自分が既に知っているものしか読むことができない」。私が読書で心動かされるのは、岩の中からそれが「言葉」という形を伴ってはっきり表れてきた喜び。
ヘッセは第一次世界大戦後、スイスに永住しようとした。戦争の波が覆いかぶさるヨーロッパの中で、唯一孤島のようにあるスイスに。しかしスイスは永世中立国であるが故の苦しみや辛酸を味わってきた。永遠に中立であるために、徹底的な自衛と自立を、あのアルプスの山の中で。ハイジが走り回ってあの雲は何故〜♪って歌ってるだけじゃないんだぜ。
- 作者: 原書房編集部
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2003/07/07
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スイスのあり方は日本にとって参考にする部分が多いと思う。が、中立であるということはどの陣営にもつかない=「何だあいつ、単独行動しやがって」なので日本にそれを貫く意志を期待するのはいささか無理があるかも(というか状況や立場自体がまず違うしな)。反対にいえば、スイスは「そこまでしなければならない」ほどの辛苦を味わってきたんだろーな。
で、なんでヘッセから防衛論にすっ飛ぶんだ俺。