読了。

ディビザデロ通り (新潮クレスト・ブックス)

ディビザデロ通り (新潮クレスト・ブックス)

オンダーチェを読むのは三作目。
ここまでの作品とは違い、主題は個人と個人の隔たりへと移っているように思える。もちろんヒッピーやジプシーといった「異人」の存在は描かれるわけだが、血のつながらない双子の姉妹という、一つのようでまったく違う二つの存在を軸に話は進む。
ラファエルはどうなるのだろう。アンナとの穏やかな時間が描かれているからこそ、彼の一年後はどうなるのだろう?
宙ぶらりんのように話は終わり、一人の老作家の晩年を描いて小説は終わる。そのことに少しもやもやしたものを感じたが、老作家の物語はすでに定まった過去であり、現在と未来は、クレアとクープとアンナとラファエルは、現在と未来であるからこそ、書かれないままに終わるのだろうか。


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