機会があったので珍しく映画を見に行った。『アレクサンドリア』
以下ネタバレ。
テーマがアレクサンドリア図書館ということでおっとおもったのだが、公式サイトの予告編を見て自分の見たい感じのものではないなーとはおもった。まあ実際そうでなかったし、かといって悪い映画だったかというと映画をほとんど見ないので判断基準がなく何とも。たぶん悪い映画ではないのだとおもう。
ヒュパティアの自分の人生のすべてを学問に捧げる姿勢は気高いのだが、周りの男性陣があくまでも「女性」ヒュパティアを愛しているのにちょっと違和感というか、不満。オレステスの葛藤と嘆きはぐっとくるものがあったが、ダオスのほうがいまいちわからない。たぶんその辺りを読み解く能力に欠けているだけで、むしろオレステスのあまりにも「単純な」愛情表現とダオスの「複雑な」愛情表現を対比させているんだろうとはおもうが。そういう意味では二度三度見た方が読めるのかもしれない。
個人的には「押しつけの信仰を拒みただひたすら学問に愛を捧げる学者としての」ヒュパティアを愛する存在があればとはおもった。父のテオスや研究を手助けする奴隷アシパウスの役回りだったのかもしれないが、肉親やそれに近い存在からの愛情にのみそれが託されているのは少し不満。
都市アレクサンドリアや図書館の雰囲気はすばらしかったが、図書館破壊の際に飛び交う巻物などいわゆる「映画的表現」に違和感を感じるあたり慣れていないなあとおもった。

タイトルはアレクサンドリア図書館がアレクサンドリア戦役で焼失したとき*1その様子を見ながらカエサルが言ったとされる言葉。

*1:この映画に出てくる図書館はその後再建されたもの。